『ダッシュ!四駆郎』で有名な漫画家の徳田ザウルスさんが
23日、急性心不全のため逝去されたそうです。
ご冥福をお祈りします。
『ダッシュ!四駆郎』といえば、俺の世代にとっては
田宮とともにミニ四駆全盛期である第一次ミニ四駆ブームを支えた大ヒット漫画で
漫画・玩具・アニメ・大会(ジャパンカップ)と幅広く展開。
『レッツ&ゴー』などによる第二次ミニ四駆ブームにおける
それらの作品の基本的な構造や、商業的基盤を確立した功績は
いまでも非常に大きく評価されている記念碑的な作品です。
『ダッシュ!四駆郎』は、コロコロコミックに連載され、
作中に登場するミニ四駆「エンペラー」や「バーニングサン」が次々と商品化され、
また、ミニ四駆の改造についても作中とコロコロの誌面で同時に掘り下げてありました。
なかでも田宮の前ちゃんと呼ばれる改造職人さんが人気で、
「アバンテ」を改造して軽量化を極限まで進めたシリーズ「あびゃんて」などは
当時の少年たちの間で知らない者はいないほど有名でした。
ミニ四駆を語るならシャーシの歴史を語らなければいけないでしょう。
というわけでここからはシャーシのうんちくです(笑
詳しくない人はミニ四駆のボディーばかりに注目しがちですが、
実際の性能を大きく左右するのはシャーシで
ここには長い歴史があります。
レーサーミニ四駆シリーズの初期、シャーシは1種類しかなかった
(のちにタイプ1と呼ばれる)のですが
タイプ2シャーシが登場し、
タイプ1では寝かせて置いていたモーターを立てることにより、
前後シャフトの間隔を広げて直進性を強化し、
サイドガードにローラーを取り付けるための穴やボールベアリング用の設置穴も標準化。
シャーシじたいも肉抜きされ軽量化されました。
(前述のアバンテがこれの第一弾として発売)
タイプ2はほとんどモーターが丸出しになったモーターカバーが印象的でした。
そして。
タイプ1シャーシを軽量化し、
ボールベアリングとサイドローラーに対応したタイプ3シャーシ、
(タイプ1シャーシのミニ四駆が再発売されるケースが多かったです)
さらに。
タイプ2をさらに進化させるべく、電池位置を下げて重心を落とし、
タイプ3まで手つかずだったフロントバンパーにも軽量化がほどこされた
タイプ4シャーシ。
これは後述するZEROシャーシの試作段階だったのか、
たったの2車種でしか発売されていないようです。
『ダッシュ!四駆郎』の作中で登場する伝説のミニ四駆「ホライゾン」
(設定ではリモコンのような赤外線装置によるリモートコントロールが可能だった)
が商品化された際に初採用された、タイプ4をさらに軽量化したZEROシャーシ。
これは、タイプ1からずっと付いていたサイドガードすらなくなり
(これは改造で取り除き、より高い位置にローラーをつけられる
ハイマウントローラーに替えることが多かったためですが、
サイドガードがないとポール系のアイテムは付けられません。
取り付けるには別売りのオプションが必要。)
めちゃめちゃ軽くて穴だらけで男らしかったですね(笑
その後、ミニ四駆の構造的な弱点である
モーターが後部にあることにより重量バランスが後ろに偏り、
高速走行時に前が浮いてしまうことを克服した
FMシャーシ(フロントシップモータの略?前にモーターがある)、
個人的にはこれかZEROシャーシが最強だと思うのですが、
なぜか不人気だったようで3車種のみで終了(つД`)
軽量化を肉抜きではなく、肉厚を薄くすることでおこなったタイプ5シャーシ
が次々と発売されました。
ZEROシャーシ発売のあたりからF1ブームに影響されてF1マシンを売ってみたり、
だんだん下火になりつつある気配はあったものの
ダッシュ!四駆郎の終了とともに
レーサーミニ四駆シリーズは終了。
市場は一気に縮小へむかいます。
ちなみにミニ四駆の大会であるジャパンカップにも年齢制限があり
中学生までしか参加できなかったことも衰退の原因と言われています。
その後、スーパーミニ四駆シリーズなどを発売したりしましたが市場の縮小は止められず、
フルカウルミニ四駆シリーズが『レッツ&ゴー』で爆発的なヒットを飛ばし
第二次ブームを巻き起こすまで、長い冬の時代となったのでした。
俺の青春の1ページを彩ってくれたミニ四駆。
そのブームの原動力だったダッシュ!四駆郎と、作者・徳田ザウルス氏に敬意を表し、
最後はこの言葉で締めたいと思います。
思い出を、ありがとう!