深夜。
とあるコンビニでのこと。
きんこーん♪
来店を知らせるベルが鳴って、
入ってきた50歳前後の男性がレジ前へやってくる。
「いらっしゃいませ」
レジにいた男性店員があいさつをする。
深夜と思わせない爽やかなあいさつだ。
客の男性が、レジの奥にあるタバコの陳列棚を指さした。
「スーパーのワン。」
完全無欠の断言。
その声に迷いなど感じられない。
が。
そもそもタバコの銘柄で「スーパー」を冠したものは非常に多く、
絶対に「スーパー」と略して呼ぶことはありえない。
まして「ワン」というと、成分量タール1mgのタバコをあらわす。
「スーパー」とつくものは通常5mg程度が多く、
「スーパー」でありながら、かつ、1mgのものというのは・・・
そもそも存在するのか?(´Д`;)
店員はとまどって聞き返す。
「スーパーの、ワンですか?」
「そう。スーパーのワンや。」
ノータイムで切り替えされた。
やはり迷いはない。
(´Д`;)
店員は数秒間、フリーズした。
しかたなく、店員はタバコ陳列棚の一番右上の端っこのほうへ手を伸ばした。
長年の経験を生かした、
ある秘策をとるためだ。
予想どおり、店員が手を伸ばした先の周囲、
直径で15センチくらいのエリアに客の男性の視線が移っている。
店員は少しずつ、客の男性の視線を操るように、
手をタバコ陳列棚の右上から左下へとスライドしはじめた。
客の男性の視線が、ついてくる。
焦りは禁物。ゆっくり、ゆっくり・・・
「ああ、そうやな。その・・・」
そのうち。
どうやら目当てのタバコ『スーパーのワン』とやらを発見したらしく、
客の男性が声をあげた。
店員の手は、いま、
『マイルドセブン』という銘柄のタバコ周辺を示している。
このあたりに陳列してあるタバコのうち、
「ワン」を冠するものといえば、有名なのは『マイルドセブン・ワン』である。
だが、当然ではあるが『マイルドセブン・ワン』は
「スーパー」ではない。
「スーパーの・・・ワンは、こちらですか?」
おそるおそる、店員が聞く。
もはや「スーパー」とはっきり言う勇気などない。
客の男性は
「おおっ、それやそれ。それ1個くれや」
うれしそうに財布をあさりはじめていた。
あんたの覚え方が「スーパー」です(´Д`;)
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