懐かしの人形



驚いた2人は、玄関へ向かった。


しかし、玄関にあるはずの大きな扉は見あたらず、

屋敷に閉じこめられてしまった。。。

窓から出ようと思ったが、開けられそうもない。



『出したくないのなら、嫌ってほど隅々まで探検してやるぜ!!』

もうどうでもいい、といったような気持ちで、

館の中を探検し始めた。


2階の強い光が漏れている扉を開ける・・・。


『ヒトダマ!?』


奈美は驚いたが、「リンが燃えているだけ」ということにした。



少し扉の開いた部屋に行ってみる。


中に入ると、猫の2つの目がキラリと光った。

ニャー・・

猫の目に間違いない。。。

しかし、その目は空中を漂っている。


懐中電灯で照らしてみる。


バサバサバサッ!! と、コウモリが飛んだ。


猫がコウモリになったのか、コウモリが猫を捕まえたのか。。。



部屋を出るとピアノの音が聞こえてくる・・・。


扉を開けると、なおも鳴り響くピアノが置いてあった。

演奏者はいない。。。


『ヒッ! ピアノが勝手に・・・!!』


奈美は驚いたが、「自動ピアノ」ということにした。



先ほど、ミイラのいた部屋を開ける。


・・・しかし、そこにはミイラの姿はなかった。。。



ミイラの向かい側の部屋を開けてみる。


棚の上に2体の人形が置かれていた。

洋風の・・・ふっくらした人形だ。

2体とも、同じ格好、同じ顔をしていた。


奈美は、ジッとその人形を見つめ、手にとった。


頬を人形に擦り付けていた。


『これ・・・ この感触! ・・・懐かしい。』

『私が子供の頃、持っていた人形と同じよ・・・。』


うつろな目で人形を見つめる奈美。


そんな人形、どれでも一緒のように見える。


部屋を出ようとすると、奈美は人形に向かって、


『バイバイ・・・』


と、名残惜しそうに言った。